2021年2月2日火曜日

軍隊から英雄に

 憧れの英雄ポロネーズにチャレンジと相成りましたが、これにまつわる思い出話。

 14歳の時のことです。
 英雄ポロネーズに憧れていた少年の気持ちを汲んでくれたのでしょうか、ピアノ教室の先生は発表会の曲として同じショパンの軍隊ポロネーズを勧めてくれました。
 発表会の半年前でした。猶予はあるように思っていましたが、甘い甘い。それからは悪戦苦闘の日々です。当時の自分の実力をかなり上回る曲だったのは間違いありません。それでも何とかなるもんなんですね。発表会では内容はともかく暗譜で演じきれました。
 しかしその発表会から間もなく不幸が到来しました。家庭の事情で、これを最後にピアノ教室をやめ、しばらくピアノに触れることができなくなりました。父親の事業失敗で、ピアノを含め、家財が競売で没収され、ある日学校から帰ったら家には自分の机を除いて何もありませんでした。ピアノどころではなくなっていたのでした。
 その後、きっちりとピアノに触れることができるようになったのは、中学、高校、1年の浪人期間を経た5年後です。東京の大学に入り、大阪から上京して銀座を徘徊していた時にふと入ったヤマハのショップがきっかけでした。
 試弾できた電子ピアノにたぶん何時間もかじりついていました。今から35年前のことです。当時の電子ピアノは安くはありませんでした。今はずいぶん安く高性能になったものですね。欲しかったのは確か22万円だったと思います。でも上京したての大学生にそんな大金はありません。迷っていたら店のお姉さんはローンを勧めてくれました。月1万円で2年払い!即決とはいかず一旦審査ですが、ほぼ無一文の学生でもローン審査は無事通り、1週間ほどして四畳半のアパートに電子ピアノがやってきたのでした。

 14歳で途切れたピアノを再開できる!19歳の春のことでした。

続く

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