憧れの英雄ポロネーズにチャレンジと相成りましたが、これにまつわる思い出話。前回からの続きとなります。
山手線の内側の東京のど真ん中。大学の校舎が見える、家賃3万円、古い鉄筋ビルでトイレ共同の4畳半のアパートに居を構えた私は、ふらっと訪れた銀座の楽器店で、電子ピアノを衝動買い。確か24回払いの月々1万円です。
これで14歳でぷっつり途切れたピアノがまた弾ける!
トルコ行進曲、子犬のワルツ、軍隊ポロネーズ……。
少年時代に発表会でやった曲を中心に、力いっぱい弾いてみました。この頃はタッチも何もあったものではなかったですね。今こんな弾き方をしたら絶対先生に叱られそうです。音は出せないのでヘッドホンで。アパートは床が畳ではなくタイル張りで硬いせいか、弾いた衝撃が下に伝わるのでしょう。真下で暮らす住人から苦情が来ました。
程なく、憧れだった「英雄ポロネーズ」全音のピース版を購入しました。
譜読みにはずいぶん時間がかかりました。
導入部分からいきなり難しいですよね、半音ずつ上がっていく重音部分。今から思えば全く弾けていません。ごまかしまくり。
メインの部分。ここは案外弾けた気分。でもスケールはうまく弾けずペダル踏んで誤魔化しまくり。
左手オクターブ連打。腕がつりそうになって、最後まで無理。
そんな感じで一部分だけ弾けるかなという、本当になんちゃって英雄。それでもこの曲に少しでも近づけた気分で嬉しかったものです。
その後は、同じアパートに住む仲間がバンドをやっており、キーボードで参加。サザンオールスターズのコピーバンドをやっていました。やがて仲間は卒業、自分は留年でバンド活動もなくなり、ピアノに触れる機会は激減していまいました。自分も一年遅れて就職。そしてあれだけ弾くことに飢えていたピアノを全く弾かなくなってしまいました。